研究課題/領域番号 |
12555053
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
熱工学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
阿部 豊 筑波大学, 機能工学系, 助教授 (10241720)
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研究分担者 |
渡辺 正 日本原子力研究所, 主任研究員
松隈 洋介 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (70282241)
成合 英樹 筑波大学, 機能工学系, 教授 (70134210)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 蒸気爆発 / 新材料製造 / アモルファス超微粒子 / 強力超音波 / 音響定在波 / 溶融金属 / 超高速急冷 / 臨界冷却速度 |
研究概要 |
高温融体を低沸点液体中に投入した場合、条件によっては、圧力波の発生を伴う蒸気爆発現象が発生する。蒸気爆発現象の特徴は、冷却速度が極めて大きいということである。従来の冷却方法では、1秒間に1万度から100万度までの冷却速度しか達成できなかったのに対して、微粒化した蒸気爆発の粒子では、その一桁上の1秒間に1000万度の冷却速度が可能となる。このような「超急速冷却」が可能となるのは、高温融体が微粒化によって極めて微小な粒子となることと密接な関係がある。数ミリの高温溶融体液滴を用いた蒸気爆発実験においては、直径がサブミリ以下のほぼ均一な微粒子が形成されることが確認されている。さらに、このような「超急速冷却」時の冷却速度は溶融金属の臨界冷却速度を超えており、生成した微粒子が、通常の結晶組織ではなく、非晶質のアモルファスとなっていることも確かめられている。このような蒸気爆発による超急速冷却を用いて製造されたアモルファス超微粒子は、優れた力学的特性や電磁気的特性を有する極めて利用価値の高い素材となることが期待される。 本研究の目的は、蒸気爆発による超急速冷却現象を用いたアモルファス超微粒子の製造に必要となる要素技術の確立を目指すとともに、これらの要素技術を組み合わせて実際に金属アモルファス超微粒子の製造を試みることにあり、そのために必要となる要素技術を確立した。蒸気爆発による超急速冷却現象を用いたアモルファス超微粒子の製造に必要となる要素技術としては、蒸気爆発の発生する条件範囲を明らかにした。その上で、その条件を達成するために必要となる膜沸騰状態にある溶融液滴を、強力超音波を用いて任意の位置に保持する技術を確立した。そのために、超音波発生システムならびに溶融金属液滴の射出システムから構成される実験装置の設計・製作を行うとともに、作製した実験装置を用いて、膜沸騰状態にある高温溶融体が、超音波によって保持できるか否かを実証的に調べた。その結果、液体中の高温溶融液滴が強力超音波によって形成された定在波中に保持されることを、世界で初めて確認するとともに、蒸気爆発によって、微粒子が生成することが可能であることを示す結果を得ることができた。
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