研究課題/領域番号 |
12555056
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岡崎 健 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20124729)
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研究分担者 |
野崎 智洋 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90283283)
多田 茂 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70251650)
伏信 一慶 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50280996)
増田 正夫 高砂熱学(株), 総合研究所, 主任(研究職)
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キーワード | 固体高分子型燃料電池 / 分子動力学法 / 数値計算 / ナトリウムイオン / 拡散定数 / マイクロチャンネル / 電流密度 / 可視化 |
研究概要 |
本研究では、ミクロな輸送機構の解明を通じて固体高分子型燃料電池の高性能化につなげることを目的としている。交付申請書に記した研究計画に基づき、本年度は以下の検討を行った。 (1)固体高分子膜内の陽イオン輸送特性モデル化 膜内のプロトン輸送は膜における抵抗(=損失)を決定する支配因子であり、このようなミクロ輸送機構解明のためのプロトン輸送のモデル化の前段階として、本年度は同じ陽イオンであるナトリウムイオンの輸送特性について分子動力学モデルを構築し、その輸送特性について検討を行った。その結果、膜構造も含めた適切なモデル化を行うことで、拡散定数に代表される膜内輸送特性を十分に予測しうることを示した。これにより、理想的な拡散定数を得るための膜構造を本モデルにより概ね予測可能であることが示された。なお、このモデル化の過程で、プロトン輸送モデル化が極めて困難であること、さらに、このような分子レベルでの損失機構解明においては膜内輸送よりもむしろカソード(酸素極)側での損失が支配的であり、こちらの検討の重要性が明らかとなった。 (2)マイクロチャンネル内ガス供給方向のガス・水分分布計測 一方、マイクロチャンネルを通じて供給されるガス・水分の輸送も性能を大きく支配する因子である。このようなミクロ輸送機構解明のための計測の前段階として、本年度はまず流れ方向に分割した電極を作製し、膜流れ方向の電流密度分布を測定した。モデル化により、この値から膜内の含水量分布を予測することが可能である。また、本年度はセパレーターの一部を可視化窓で置き換えた燃料電池セルを試作し、次年度以降の膜内ミクロ構造ならびにミクロ流動検討のための予備的検討を行った。
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