研究概要 |
本研究では,これまでに研究代表者が提案してきた,時時刻々,放射率や温度が変化するような対象にも適用できる2色放射温度計の原理を利用した2色赤外線温度画像化システムを,実際に試作し,実用化における問題点を明らかにすることを目的としている. 本研究で制作されたシステムは,16chのInSb赤外線センサーアレイを2組,および,センサー検知波長域のふく射のうち短波長側を透過し,残りの長波長側を反射し得るダイクロイックハーフミラーを備えている.これにより反射側および透過側それぞれにセンサーアレイを配置することで,2波長域の赤外線を同時に計測できる.また,本システムは2次元画像を得るための可動光学系(ガルバノメータ)を備えてる他,得られた赤外線強度から温度を換算するためのDSP(Digital Signal Processor)を備えている. 研究初年度にあたる平成12年度において設計・制作された光学系(赤外線センサーへの結像光学系)に加え,本13年度では,赤外線センサーによる高精度計測のための信号増幅系の設計を行い,それを試作,その性能評価を行った.その結果,16chのInSb赤外線センサーアレイ2組から低ノイズの出力を得ることに成功した.また,2次元画像を得るための可動光学系の組み込みを完了し,その制御プログラムの作成を行った.さらに,DSPによる温度換算,画像化ための高速プログラムを作成した.現在,DSPによる統合制御のためのプログラム開発を行っているが,システムの完成には至っていない.しかしながら,本研究で提案された,DSPによる温度換算,画像化ルーチンを利用することで,高いレートでの温度の画像化が可能であること,また,換算温度の誤差に強く影響を及ぼす,計測赤外線強度のノイズ低減方法など,実用化のための必要技術の指針を得た.
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