研究概要 |
1.温冷感の非定常挙動: 九州大学実験室内に設けた温熱環境実験室(広さ3200×2250高さ2700)にて,提案した非定常温熱環境下に適応できる温冷感申告法を用い,温冷感の非定常挙動を観測した.環境温度の変化と温冷感変化の相関,あるいは環境温度変化への温冷感の追従性など非定常環境下での過渡温冷感を高分解能で明らかにした. 2.非定常温熱環境下における温冷感挙動と人体側の皮膚表面温度,表面熱流束,内部血流変化とその時間遅れおよび熱環境パラメタ(環境温度変化速度,環境温度絶対レベル)の対応関係: 赤外線熱画像装置および超音波血流計を用いて皮膚表面温度,内部血流量を測定し,環境温度変化に対してそれぞれ応答に時間遅れを生じることを確認した.また,非定常温感が皮膚表面温度,内部血流量が環境温度変化速度に対し密接な相関性を持つことを確認した. 3.過渡温冷感に関する人体側計測データの人体伝熱モデルによる理論的検討: bio-heat equationを流れ場の運動量方程式と連立させた人体伝熱モデルを提案した.人体伝熱モデルにおいては,毛細管網の等価透過率に温度依存性を導入することで血流量の自動調節を行わせ,内部に心臓を配した胴体部位で理論的検討を行った.皮膚表面温度の遅れ時間は数100秒程度という結果となり,実験データと同程度の遅れ時間となった.また,透過率を温度依存とする事で,依存させない場合と比較して皮膚表面温度の変化量が小さくなり,また表面熱流束の遅れ時間との関連を明らかにした. 4.非定常温感挙動を皮膚血液流量あるいは皮膚温度の変化速度を用いて予測する理論基盤の検討を行った.
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