研究概要 |
本研究は,光触媒の超親水性を利用して,気液相変化系で優れた性能を有する伝熱面の開発を目的とする. 本年度は,次の項目についての検討を行った. (1)超親水表面を利用して接触角を変化させて,高温面上の液滴の蒸発に及ぼす影響を詳細に調べた. (2)耐久性に優れた伝熱面の開発を目指し,スパッタリング法による酸化チタンのコーティングを実施し,各種の条件に対して,紫外線の照射時間と接触角の関係を調べた. その結果,(1)については接触角4〜83゜の間で変化させて,蒸発時間を測定したところ,接触角が小さいほど蒸発時間が短く,超親水性の効果により伝熱が促進されることが判明した.また,濡れ限界温度を調べたところ,接触角が小さくなるほど濡れ限界温度は上昇し,最大20K以上の差がでることがわかった.液滴の大きさの効果についても継続して調査を実施中である. (2)のスパッタリングにより作製したコーティング膜は耐久性および伝熱特性の点では,ディップコーティングに比べて優れているものの,光触媒活性の点でまだ完全に安定な条件には達していない.しかしながら,種々の実験事実から,この方法によるコーティングが現段階では最有力であるとの感触が得られた.
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