研究概要 |
高齢者がいきいきと生活できるために、非高齢者と共生できる移動システムが重要となる。本研究では、H10〜11年の基盤研究で提案した超小型の自動車が、より実現の方向にむかうために解決すべき課題として挙げられた、運転操作系の改良と一般の自動車との混合交通における安全確保に関して注目した。ドライビングシミュレータによる検討と、実車(同等の市販車)を用いた試験により、問題解決を目指した。具体的に行った内容を以下にしめす。 まず、運転を実験室で模擬し、統制のとれた環境下でデータを取得するため、動揺付加式ドライビングシミュレータを作成し、高齢者の運転特性を採取した。その後、高齢者の特性に基づく運転操作系を提案し、評価・検討を行った。その結果、操作を手に集中させる方式の優位性がしめされた。 次に、ドライビングシミュレータによる検討から、高齢者によりよいという知見の得られた運転操作系を,超小型電気自動車に組み込み、実車での評価を行った。その結果、適切な操舵系ギヤ比の設定や、手だけで操作できる操作系の妥当性が確認された。 また、市販の超小型電気自動車を地域(茨城県十王町)へ導入し、高齢者・非高齢者のモニタに長期間貸し出しを行った。このモニタ実験から、共生のための移動システムに関する知見を得た。超小型車は非高齢者からも好評で、車両が混在した低速交通の実現への課題が整理された。 以上から、本研究で目指す共生移動システムの実現に向けた課題がほぼクリアされ、基盤技術として確立した。
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