研究概要 |
超音波駆動メスの能動化を図るために,次の点について研究を行った.(1)湾曲時の振動状態の解析と制御.(2)振動伝達部の湾曲伸展機構.前者については,波動方程式を振動伝達マトリクス法により解き,湾曲に伴って振動状態がどのように変化するか計算を行った.その結果,縦振動成分については,湾曲時でも真直状態と同じように伝達されることが分かった.また,横振動成分については,湾曲に伴い増加するものの,増加率は小さいことが分かった.以上より,湾曲時においても,メス先端では必要な振動が得られることが明らかとなった.後者については,大きな湾曲角を得るために,超弾性合金を伝達棒として使用する方法を考案した.超弾性合金は2%程度の歪に対しても塑性変形することなく,除荷により元の形状へ回復するという特性がある.この特性を利用することにより,大きな湾曲角を得ることができる.超弾性棒を能動的に変形させるために,ワイヤ駆動を用いている.超弾性棒の振動の節にワイヤ保持部を設け,ワイヤをモータにより駆動する. この他に,超音波メスの操作性に関する研究,内視鏡下手術の操作負担の軽減に関する研究などが行われた.
|