研究概要 |
本研究は布の繊細な手触りを仮想現実としてディスプレイすることを目的としており,この問題の最大のボトルネックである手指への新しい機械的インターフェースを開発する.研究代表者らのこれまでの研究成果を発展させ,イオン導電性高分子ゲルアクチュエータを利用することによって,これまで問題であった高い柔軟性,高い運動自由度,微小な分布力の制御,皮膚刺激方向の制御,を可能にする.それによって,様々な布の微妙な手触りを仮想呈示,遠隔電送できるシステムを創り出すことを目指している. 平成12年度は触感を呈示できる繊毛ハードウェアの開発に重点を置いて研究を行った.具体的には, 1.ICPFアクチュエータによる柔軟な繊毛の製造法と制御技術の確立 これまでの研究成果を発展させ,繊毛ハードウェアを製造するための方法論と制御技術を確立した. 2.繊毛機構の設計 手触り感を実現するための繊毛の配置,間隔,長さ,取り付け角度,初期形状などを検討・設計した. 3.機構・駆動回路・インターフェースの試作 設計に基づき,触感ディスプレイの試作を行った.その結果,何らかの微妙な触感を作り出すことに成功した. 4.繊毛運動と皮膚刺激,感覚受容体刺激の関係の有限要素モデリング 有限要素法により,アクチュエータへの入力により生成される繊毛運動,それに接触する皮膚,皮下組織の運動及び応力の解析を行った.静的な解析には成功したが,動的解析に関する課題が残された. 以上のように,平成13年度以降に研究を継続し,所期の研究目的を果たすための基盤を作ることができた.
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