研究概要 |
基板上にフォトリソグラフィーにより作られた電極列とそれを覆う微小流路からなり,電極列に高周波電圧を印加することにより高電界を形成し,流路入口から出口に向かって流れる試料中の生体分子のうちサイズの大きいものが誘電泳動により電極列へとトラップされやすいことを利用して分離・分析を行う装置の,実用化を踏まえた手法および装置開発を行うことを目的として研究を行った。 昨年度は,このデバイスの入口から一定濃度の試料溶液を流し続け,電圧を印加したり切ったりしたときのデバイス出口での分子濃度の変化により分析を行う手法につき研究を行ったが,この方法では,多成分の混合溶液の分析や,成分の分離を行うことはできない。 そこで,本年度は,入口から定常的にキャリアを流しておき,ここに多成分を持つ試料をパルス的に注入して,出口に到達するまでにかかる時間の差を利用して分離・分析を行う,誘電泳動クロマトグラフィーの手法・装置の開発を行った。パルス的に注入するためには,試料流路と主流路の2つの流路を交差させておき,試料流路に試料を流し,交差点付近にサンプルを供給した後に,主流路にキャリアを流して,サンプルを電極列へと供給する,クロスフローインジェクターを採用した。このクロスフローインジェクターを含めた流路系はシリコンゴムの型取りによって作製し,チャネル中の流体は,圧力により駆動した。そして,このデバイスを用いて,直径1ミクロン以下の微粒子の分離や,DNAの分離を行った。 来年度は,その分離特性について明らかにする予定である。
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