研究課題/領域番号 |
12555081
|
研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小崎 正光 岐阜工業高等専門学校, 校長 (80023191)
|
研究分担者 |
所 哲郎 岐阜工業高等専門学校, 電気工学科, 助教授 (10155525)
長尾 雅行 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (30115612)
齋藤 隆 (株)フジクラ, 材料技術研究所, 主幹部長
|
キーワード | エチレンプロピレンゴム(EPR) / 充填剤 / 超伝導導体 / 電気絶縁性能 / 極低温領域 / 押出し高分子ケーブル / 直流送電 / 電力ケーブル |
研究概要 |
本研究では、エチレンプロピレンゴム(EPR)に配合される充填剤に着目し、その種類及び量を系統的に変化させ、極低温領域におけるEPRの電気絶縁特性に及ぼす充填剤配合の最適化を試みている。また直流絶縁に関連した空間電荷の蓄積と極性反転に伴う絶縁破壊特性などを検討可能とし、極低温の直流課電下においては絶縁性能の低下が問題にならない可能性を実証しようとしている。本年度は、極低温におけるEPRの機械的特性及び電気的特性の評価を行った結果、引張破壊強度はEPR及び架橋ポリエチレン(XLPE)が低密度ポリエチレン(LDPE)に比べ高い値を示すことを確認した。また、EPRの収縮率は充填剤の効果により、他の材料の試料に比べ押さえられることがわかった。電気絶縁の面からは、室温において充填剤が15phrの直流絶縁破壊の強さ(Fb)が最も高く、Fbの充填剤配合量依存性にピークを持つことが確認できた。この原因として、空間電荷の影響であることが示唆された。すなわち、極低温における空間電荷の注入量は室温に比べ少なく、注入した空間電荷の外部電界による移動も少ないことが示された。 来年度は引き続き、極低温領域における直流電界下での空間電荷の形成や、本年度構築した絶縁材料界面状態の計測システムによる、絶縁材料の界面状態の機器絶縁性能への影響について検討していく。 本研究の研究成果により、従来のCVケーブルの直流化を阻んで来た空間電荷形成などの障害を克服できる可能性が示唆されつつある。超伝導ケーブルの直流化は、交流仕様における渦電流や誘電正接による発熱、部分放電に伴う劣化などの諸問題を払拭するという画期的な成果をちたらすものである。将来の電力系統の地中送電方式において主要な役割を果たすことが期待される直流高温超伝導ケーブルへの展望を開くべく、引き続き研究を進めている。
|