研究課題/領域番号 |
12555085
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深津 晋 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60199164)
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研究分担者 |
谷 由加里 ファインセラミックスセンター, 研究員
川本 清 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (40302822)
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キーワード | 分離基盤(SOI) / 表面近傍光電子量子検出器 / 酸化シリコンゲルマニウム / 異常光吸収バンド / MSM検出器 / 光照射欠陥反応促進効果 / 化合物半導体 / 近赤外長波長 |
研究概要 |
分離基板(SOI)は、高速化と低消費電力の観点から電子デバイス分野で注目を集めている。SOIの仮想基板層は、今や数ナノメータ程度にまで薄膜化が進んでいるが、これは逆に、SOIベースの光電子回路には、厚い活性層を必要とする従来の埋め込み型素子構造が使えなくなることを意味する。本研究では、この問題を解決するため、従来にはなかった表面近傍の薄膜活性層を利用する新しいタイプの光電子量子検出器を提案し、その実現を目指した。 本年度では、酸化シリコンゲルマニウム混晶の異常光吸収バンドを利用した表面近傍光量子検出器の高機能化の検討を行った。吸収の電場誘起変調度として数10Hzで1%以上を得、周波数帯域として変調度0.01%で10MHzを得た。この他、MSM検出器の周波数特性向上を目指し、SOI櫛形電極配置MSM検出器の作製、イメージング用のアレイ素子作製を試みた。 また、検出器の物性評価として、高輝度レーザの入射に伴う結晶の質的変化を調べた。その結果、SiGeの蛍光測定において、室温近傍でレーザ照射に起因する蛍光強度の増強効果を見出した。増強の度合いは、光照射によってSiGe近傍の欠陥が反応し、非輻射再結合が減少するモデルを用いて定量的に説明できることがわかった。この欠陥の光照射欠陥反応促進効果はSiGeを用いて検出器を構成する上で考慮されるべき要因である。 一方で、SiGeでは限定されていた近赤外域長波長側の検出感度を向上するため、化合物半導体の導入を試みた。InAsを結晶成長によって数原子層程度導入し、成長後の再分布によってInをInAsから遊離させるとともにSi中での活性化を促し、Inに起因する深い準位の発生を蛍光測定から検証した。MSM構造により、Siサブギャップに1.9ミクロンまでに感度を有する極薄検出器を得た。SOI搭載の検出器ではSiに相当する検出感度を除いて、ほぼ同様な波長特性を得た。ナノ秒パルス光の入射に対し、波長全域において100MHzの応答速度を得た。
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