研究課題/領域番号 |
12555087
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
田部 道晴 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (80262799)
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研究分担者 |
藤田 研 沖電気工業, 超LSI開発センター, 研究員
石川 靖彦 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (60303541)
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キーワード | SOI / 熱凝集 / シリコン / アイランド化 / 自己配列 / MOSFET |
研究概要 |
本研究は、高性能MOSFETにとって有用な薄いSOI層(SiO2上の単結晶Si層)の熱的不安定性(熱凝集現象)に注目し、その機構をミクロな視点から理解すること、および熱的に安定な構造を探ること、を目的としている。本年度は、特に熱凝集現象のその場観察を行い、途中過程を検討するとともに、最初のきっかけとなる熱凝集中心の詳細な観察を行った。 1.熱凝集のその場観察(NTT本間芳和氏のご協力による) UHVSEMを用いて、(001)SOI層10nm、埋め込みSiO2層10nmの試料を約900℃で加熱し、表面状態を継続的に観察した。その結果、次の事実が判明した。(1)まずランダムな場所からSOI層に四角い穴が開き始め、穴周辺にはSiの盛り上がりが生じる。(2)この穴は、徐々に広がると同時に内部にSi島を残していく。Si島は、元のSOI層の結晶軸として<310>等価方向に沿って並ぶ。(3)最後は、別の地点から拡大してきた穴と合流し、Si島の配列も入り乱れたものとなっていく。 以上の結果は、これまで多くのAFM像を通して、経験的に推論してきたものであるが、今回明瞭に確認できた。また、オージェ分析から、四角い穴の底部は埋め込みSiO2の表面というこれまでの推測どおりの結果が得られた。 2.熱凝集中心の観察 AFMを用いて、熱凝集の最初のきっかけとなる四角い穴の中心部を詳しく観察した。その結果、中心部は(1)ピンホール、(2)平坦、及び(3)突起の3種類のいずれもが存在することが判明した。シミュレーションモデルによれば、歪み自由エネルギーと表面自由エネルギーの両方の寄与によってアイランド化と配列が生じ、特にきっかけは応力の効果が効いていると思われる。よって、これら3種の構造は、見かけの形態は大きく異なるが、いずれも局所応力(局所ひずみエネルギー)の増大をもたらしていると考えられる。
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