磁性フォトニック結晶を用いた薄膜光アイソレータ開発を目的として、Si0_2/Ta_2O_5の誘電体多層膜とBi置換YIGで構成した1次元磁性フォトニック結晶を作製し、試料の光学・磁気光学効果を詳細に調べた。その結果以下の知見を得た。 (1)従来光パルスアニール法で試料の作製を行ってきたが、この方法では得られる資料面積が小さい、薄膜表面の荒れが大きい、等の問題があった。この難点を克服するため、試料形成基板に検討を加え、電気炉による試料形成技術を確立した。 (2)透過型光アイソレータへの応用を目指し、試料構造と透過率・ファラデー回転角との関係を理論・実験から詳しく調べ、右偏波光と左偏波光の位相をうまく合わせる膜構造を利用することで、理論的には透過率99%、ファラデー回転角45°の試料形成が可能であることを結論した。しかし実際に作製した試料では、媒体自体の光吸収が大きいこと、膜厚制御が困難であること、から当該スペックを満たす試料の形成には至っていない。 以上の知見を踏まえ、反射型の薄膜光アイソレータを考案し、現在当該試料の形成と特性解明を行っている。
|