研究概要 |
本研究では,ディープサブミクロン(DSM)ULSIチップのレイアウト自動設計(フロアプラン・配置設計,配線設計)に注目し,DSM ULSIチップの実用化と共に顕著になってきた,従来手法では対処できない問題を解決した新しいレイアウト自動設計手法を確立し,実際にレイアウト自動設計システムを開発して,それを用いて実際にテストチップを設計・試作することにより提案手法の有効性を検証することを目的とする.本年度は以下の3つの事項に関して,研究を行った. 1.ディープサブミクロンULSIのデバイスモデル化 DSM ULSIのデバイスプロセスに関して,相変化不揮発性メモリを具体例にとり,その特性をモデル化し,レイアウト設計での評価用モデル開発に関する検討を行った. 2.パフォーマンスドリブンフロアプランアルゴリズムの開発 DSM ULSIビルディングブロックレイアウトに対して,適応的遺伝的アルゴリズムに基づくフロアプランニングアルゴリズムを開発し,計算機上に実装し評価を行った.更に,配線幅調整,バッファ挿入を考慮した概略配線を考慮しながら,フロアプランを求めるアルゴリズムを開発・実装し,実際の大規模なデータに対して適用し,その有効性を確認した.提案アルゴリズムにより,従来では時間がかかっていたフロアプランニングにおいて,一回の実行でタイミング違反はほとんどないレイアウトを得ることが可能になった. 3.パフォーマンスドリブン配線アルゴリズムの開発 配線幅調整とバッファ挿入を考慮したスタイナ木を生成する遺伝的アルゴリズムを提案した.提案アルゴリズムでは,それぞれの染色体がスタイナ木のトポロジを表し,適応度評価において,木のトポロジを配線幅調整とバッファ挿入を考慮した実際のスタイナ木のレイアウトに変換する.このアルゴリズムに基づく概略配線プログラムを開発し,計算機上に実現して有効性の検証を行った.
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