波長多重光ネットワークのための新しい超小型光ファイバレーザデバイス

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12555107
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 山下 真司 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (40239968)
• 研究分担者: 保立 和夫 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60126159)
• キーワード: 光ファイバ / レーザ / モード同期 / パルス発振 / ソリトン効果 / スーパーモード雑音 / ファブリ・ペロー / リング共振器

研究概要

本研究の目指すところは、研究代表者の山下らが提案し、その優れた特性を実証してきた超小型光ファイバファブリ・ペローレーザ(FFPL)を利用して、将来の波長多重(WDM)光ファイバネットワークでの実用に耐えうる高機能な新しい光ファイバレーザ光源・波長変換器を実現していくことである。本年度は、本研究の第1年度にあたる。
本年度は、FFPLを用いた高安定・高繰り返し能動モード同期短パルス光ファイバレーザの実現と実証を中心に行った。共振器長10mmのFFPLを試作し、これを光ファイバリング共振器中に挿入して10GHz能動モード同期動作を実現した。10mmのFFPLの自由周波数間隔(FSR)に等しい10GHzの変調をLN変調器により与えることにより、繰り返し周波数10GHzの短パルス列を得ることができた。さらに通常の能動モード同期光ファイバリングレーザ、およびそれに光ファイバファブリペロー干渉計(FFPI)を挿入したものについても実験を行い、能動モード同期FFPLとの動作の比較を行った。FFPLを用いることにより、スーパーモード雑音が抑圧され、安定なパルス発振動作が可能なことを示し、パルス幅としては3.6psを得た。さらに、高非線形分散シフト光ファイバ(HNL-DSF)を共振器内に挿入することにより、ソリトン効果によりパルス幅1.6psのトランスフォームリミットに近い安定なパルスを得ることができた。

研究成果

• [文献書誌] K.Hsu and S.Yamashita: "Single-polarization generation in fiber Fabry-Perot laser by self-injection locking in short feedback cavity"IEEE/OSA Journal of Lightwave Technology. (掲載予定). (2001)
• [文献書誌] S.Yamashita,K.Hsu and R. Hayashi: "Actively mode-locked miniature fiber Fabry-Perot laser (FFPL)"Conf.on Lasers and Electro-Optics(CLEO2001). (発表予定). 372-377 (2001)
• [文献書誌] K.Hsu and S.Yamashita: "Performance of self-injection locked fiber Fabry-Perot laser with short feedback cavity"Conf.on Optical Fiber Communications(OFC'2000). No.ThA5. (2000)
• [文献書誌] 山下真司,K.Hsu: "光ファイバファブリ・ペローレーザ(FFPL)の10GHz能動モード同期動作"電子情報通信学会光通信システム研究会. OCS2000-44. (2000)
• [文献書誌] S.Yamashita and K.Torii: "Cancellation of spectral spread in highly efficient optical fiber wavelength converters"IEE Electronics Letters. 36・24. 1997-1998 (2000)
• [文献書誌] S.Yamashita and D.Matsumoto: "Waveform reshaping based on injection locking of a distributed-feedback semiconductor laser"IEEE Photonics Technology Letters. 12・10. 1388-1390 (2000)
• [文献書誌] 山下真司: "光ファイバ増幅器の解析(「WDM、DWDM用光デバイスおよびその材料と技術開発」中の一章)"技術情報協会. 340 (2000)