研究概要 |
1.送信電力が異なる、すなわち通信半径が異なる端末や移動端末が混在するアドホック無線ネットワークに有効な適応型ルーティングプロトコルを提案した。自由度の高いシミュレーション系を構築し、それを利用して、オーバーヘッドの軽減、パケット到達率の向上、及び通信開始までの遅延時間短縮等に関して提案方式の有効性を確認した。 2.上記ルーティングプロトコルではチャネルが無制限に利用できると仮定したが、それを有限と仮定して、MAC(Media Access Control)層プロトコルの影響について基礎検討を行った。その結果、ノード通信半径とノード数がプロトコルの特性に対して大きな影響をもたらすことが分かった。 3.マルチホップ無線ネットワークの総送信電力についてセルラー方式と比較しながら詳細な検討を行った。典型的な条件下で、伝搬減衰定数3のマルチホップネットワークと伝搬滅衰定数3.5のセルラネットワークの平均送信電力を比較したところ,マルチホッ無線ネッワークのほうが35dB程度総送信電力が小さくなることを明らかにした。 4.3.の結果において,基地局アンテナの利得を20dBi,端末アンテナの利得0dBiを考慮してもマルチホップ無線ネットワークはセルラネットワークより約15dB程度総送信電力が小さくなることが明らかとなった。また、例えセルラー方式をマイクロセル化しても、総送信電力はほぼ同レベルであることを明らかにした。 5.ITS車車間通信への適用を前提として、TDMA方式のキャリアやタイムスロットを自律分散的に割当てるアルゴリズムを提案した。本方式によれば,例え車両の相対的な位置関係がどのように変わろうとも、常に適切な車両のグルーピングを行い、車車間パケット通信のパケット損失を極めて小さい値に抑えられることを明らかにした。
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