研究概要 |
本研究者は既に,計測原理を開発し,微小な厚み変化の計測原理へと発展させ,数ミクロンという厚み変化の計測精度を実験的に確認し,さらに,リアルタイム連続計測システムを構成した上でニトログリセリン投与後の血管反応性の予備的実験を行っている.本年度は、以上の準備を経て構成された既存設備である『超音波による動脈壁の微小振動・厚み変化の非侵襲的リアルタイム連続計測装置』の精度をさらに向上させ,以下の手順で血管反応性の新しい高精度評価システムの確立と実用化を進めた. ・高い空間分解能をもった動脈壁の厚み変化のリアルタイム連続計測システムの開発 現有設備のリアルタイム連続計測装置の標本化周波数は1MHzと低かったため,頸動脈など壁が厚い血管にしか適用できない.本研究開発では,まず,その標本化周波数を10MHzまで上げ,180μm程度の薄い壁の動脈(特に上腕動脈・橈骨動脈など)に適用可能にした.また、計算機のハードディスクの容量分に相当する数十分間にわたる連続計測が可能なシステムを構築した。 ・生体計測に再現性を持たせるための,計測条件統一化の予備的検討 カフ駆血解除及びニトログリセリン投与後の反応性を計測・評価する上で,再現性を高くするための計測条件(計測時間帯・カフェイン摂取有無・喫煙有無・室温・食事の影響など)に関する実験的予備検討と文献調査を行った. ・水槽実験によるリアルタイム連続計測システムの処理の詳細にわたる検討・精度評価 上記(1)で構築した診断システムによって,水槽実験とヒト動脈の各部位への適用実験を行って,これまでの机上の開発では得られなかった処理の細部にわたる問題点を見い出し,解決した上で,処理系全体の精度の評価を行った.その結果十分な精度の得られることが確認できた。
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