前年度までは、直管、湾曲管を問わず、両端が閉じた管の管長高精度計測システムの開発を考えたが、例えば鉄鋼メーカにおけるパイプ製造ラインや土中のガス管などを始めとするライフライン用の管のように、両端もしくは一端が開のパイプの管長を高精度計測する必要が生じる場合も多い(出荷時の計測やメンテナンスのため)。このように、一端あるいは両端が開の場合は、管内に音圧変動(定在波)を発生させたとき、開口端の方では管の少し外側に定在波の腹が生じ、この分を開口端補正値として処理しなければならないが、この値は残念ながら理論的に求められるものではないし、かつ管と床との相対的な距離によっても変化する取り扱いの煩わしい量(未知な量)である。 本年度では、このようなことを念頭に、管の一端をキャップで閉じた場合とそうでない場合の二種類の管内音圧変動データを利用し、正確な開口端補正値と管長を同時に高精度計測するシステムを開発した。更に、パイプ製造工場におけるように、工場内騒音が絶えず管内に入り、管内定在波に外乱として加わる外乱音響下での管長高精度計測システムの開発を行った。加えて、直管や湾曲管と異なる(より一般的な)分岐管の直管部および分岐部の管長高精度計測並びに分岐部位置計測なども可能となる(より汎用的な)インテリジェントな管長・管形状計測システムも開発した。 結局、これまでの3年間に亘る研究期間の中で、種々の管形状及び種々の計測環境の中で、管長が高速・高精度に計測できる種々の計測システムの開発を行った。
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