研究概要 |
提案するシステムは就寝中における,ヒトの生体情報(心拍,呼吸,イビキ,咳,体動)を無拘束で計測しそのデータから彼の健康状態をモニタするものである.この計測方法は,蒲団の下にエアマットレスを敷き,マットレス内の空間に力学的に伝わる生体運動を高感度圧力センサにより検知し,フィルタで心拍,呼吸,イビキ,咳,体動による圧力変動を分離するものである.本年度における実績は大きく二つに分けることができる. (1)任意なエアマットレスでの計測の可能性実証試験 本方式が特別なエアマットレスのみによるものであるとすると,この方式の応用の可能性が限定される.10種類に及ぶ多様なマットレスのもとで,上記生体情報が検出可能かを確認実証試験した.エアマットレスは床ずれ防止用マットレスから,厚さ5mmの薄いマットレスに及んですベてのマットレスで計測可能であることがわかった.厚さ5mmのマットレスは蒲団の下に敷いた場合,全くその存在を感知できない.またマットレスにピンホールが存在する場合でも,マットレス内部にスポンジを挿入しておくと,このバネ特性がマットレス内の空気の存在を可能にし,ピンホール程度の穴の存在は計測を妨げない. (2)健康モニタとしての睡眠段階の推定 このエアマットレス型無拘束生体センサを使用して,健康の状態をモニタする.一晩の睡眠の深さの段階は脳波形,眼球運動計,顎の筋電のデータからRechtschaffen & Kalesの国際基準で判定される.この方法は拘束性が強く,また睡眠判断には専門医師の判断が必要で在宅介護用には向かない.エアマットレス型センサで計測できる心拍数の変動は,上の国際基準で判定した睡眠段階と関係が存在する.この睡眠段階と心拍変動の関係の構造を明らかにして,エアマットレス型センサのみで計測できる心拍変動から睡眠段階を推定する方法の一つを明らかにした.
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