研究概要 |
本研究は,長大斜張橋において問題となっている斜ケーブルの風による振動を抑制できると同時に経済性を高めることができる斜ケーブルの開発を目的としている.まず,経済性を高める方法として,PE管で被覆された小径のストランドを束ねることにより,必要な容量を満たす本数のストランドで構成されたケーブルとするマルチストランドケーブルの提案を行なっている. まず,このマルチストランドケーブルで耐風性能をたわみ1自由度二次元風洞実験で調査した結果,最外縁ストランドで構成された形状が六角形となるため,渦励振の他に高風速域でのギャロッピングが発生した.そこで,この耐風生を向上させるためには,ケーブルの形状を変更する必要があると考え,最外縁に位置するストランドの配置による耐風性能の検討を行った.検討を行ったものは,ストランドを蜜に配置されている場合を含んで,可能性がある配置パターン5種類である.そのうち,耐風性が良好なものは,六角形の角部にあたるストランドを取り除いたストランド配置のものであった.耐風性が良好となった原因を解明するために,流れの可視化を行った結果,角部の上流側に位置するストランドからの流れの剥離が,ストランド1本を省いた後流に位置するストランドからの流れの剥離と干渉して,ケーブル全体としての剥離を抑制していることが判明した.すたわち,橋梁桁断面の耐風性能向上策として提案しているものと同様な流れの剥離干渉効果により,風による振動をかなり抑制できることが判明した.今回の研究では流れに垂直に置かれた状態での実験であったが,実際のケーブルは,流れに斜めに置かれているため,さらに,斜めに置かれた状態での挙動の検討を行なう必要がある.
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