研究概要 |
透水・通水性能と補強性能を併せ持ったジオコンポジットを交通施設基盤(道路、鉄道、空港など)用の土構造物を高規格化する可能性を追求することを目的としている。12年度は初年度として、1g下及び遠心載荷装置による模型実験による検証を行う予定であったが、現状では、完全にこのことの実現を見ていない。 まず、軟弱な土材料に対するこの材料の補強・通水改善の有効性を確かめるために、安原・村上・平井は小型室内模型実験土層による予備的な支持力試験を実施した。その結果、以下のような知見を得た。 1)粘性土盛土に水平敷設されるジオコンポジットは、支持力と剛性をあげると共に、通水と排水の機能も有するのでこれらが有効に発揮される敷設方法を考える必要がある。そのための一つの方法として、ジオコンポジットの上下層に薄い砂層を敷設することによって、(1)支持力・剛性を上げるともに、(2)透水・通水機能の低下を防ぐことが出来ることが分かった。 2)これらの小型模型実験結果から得られる荷重・沈下曲線から決められる支持力増加比と地盤反力係数増加比関係にプロットすることによって補強のメカニズムを理解できるデザイン・チャートを提案した。 安原・村上・平井の成果に関連して、宮田は、ジオコンポジットの排水機能に関して,透水性に関する試験法の国際整合性を調査した。また、ジオコンポジットで圧密促進された粘性土盛土の安定性の評価に関しては,土-水連成解析法,及び、信頼性解析法を開発した.ついで、粘性土とジオコンポジットの摩擦特性に関して,粘性土のダイレイタンシーの影響を実験と解析によって確認した。 一方、棚橋・平井は、ジオコンポジットの排水・補強両機能の実験による把握と一般に内部に浸潤面を有する実盛土の浸透力と飽和度上昇による土の強度低下を考慮した分割法に基づく盛土安定解析プログラムを開発し、粘着力の低下と浸透力を考慮した盛土安定計算を行い、盛土の安定に関するジオコンポジットの排水効果を把握することができた。
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