研究概要 |
〔1〕本研究に関するハード機器開発の研究実績 本研究による岩盤崩落管理モニタリングシステムのハード機器の中で,開発が必要なのは反射ターゲットである.この反射ターゲットは,光を反射する材料で構成され,デジタル画像上で計測点の2次元座標を高精度に読み取るために設置するものである.岩盤崩壊が予測される斜面に設置するため,長期的に安定して光を反射する性能が求められる.本年度は,昼間の太陽光の下で100m遠からの距離から撮影しても,デジタル画像上にて1/20ピクセルの高精度にて2次元座標を読み取ることができるものの作成に成功した.前年度までのデジタル写真測量は夜間にフラッシュ光の下でしか計測できなかったが,本年度の成果により,昼間の計測作業が可能になり,岩盤斜面モニタリングシステムの実用化を大きく前進させた. 〔2〕本研究に関するソフト開発の研究実績 デジタル写真測量技術を利用した斜面モニタリングシステムにおける前年度までのソフトに関する開発の問題点は次の通りである. ・撮影角度に制限がある場合の写真撮影方法のノウハウが確立されていない. ・レンズ歪によるデジタル画像上での計測点の読み取り誤差を解消しなければ,高精度にて計測点の3次元座標が解析できない. 本年度は上記2項目の研究開発を行い,次のような成果を得た. ・撮影角度が制限される場合でも,写真枚数がある程度以上有れば精度は劣化しないことを現場実験により検証した.この緒果,例えば道路からの撮影画像のみで斜面モニタリングが可能であることを実証した. ・レンズ歪を事前に求めるための計測法方を考案し,その有用性を検証した.その結果,デジタルカメラの性能に依存しない低コストでの高精度の斜面モニタリングシステムの構築が可能になると同時に,解析の際にカメラ構造に関する未知数が減ることにより,解析速度が向上しリアルタイム計測システムが可能になった.
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