研究概要 |
本研究はデジタルカメラを用いた写真測量技術を応用した3次元変位計測システムの構築を図るものであり,岩盤崩落を予測し,防災のための管理システムとして有用な計測システムの確立を図るものである.研究の成果は次の通りである. ・自然環境下で高耐久性を発揮する自動認識用ターゲットを岩盤斜面に標点として設置し,市販のデジタルカメラで当該標点を撮影し,その3次元変位のリアルタイムで算出する解析理論を構築した. ・デジタル画像上の標点を自動認識するための画像処理プログラムのcode開発を行い,計測の自動化を完成させた. ・岩盤斜面に長期間設置しても光の反射特性が劣化しない自動認識用ターグットを試作し,3年間自然環境下で放置し,光反射特性の劣化が無いことを実証した. ・市販の安価なデジタルカメラを使用した場合,レンズ歪があらかじめ既知でないと高精度の計測が行えないという欠点があったが,本研究では,レンズ歪の較正式を開発し,市販のデジタルカメラを事前の較正作業無しに使用しても高精度の変位計測を可能にするプログラムを完成させた. ・精度と写真枚数の関数把握などの現場実験の試行により,計測システムの実用化のための基礎実験を行い,写真撮影すなわち計測に関する要素技術を確立した. 以上の研究成果を統合し,本年度においてデジタルカメラで岩盤斜面をフリーハンドで写真撮影し,その場でデジタル画像をパソコンに取り込んでリアルタイムに変位計測を行う斜面防災用計測システムを完成させた.
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