研究分担者 |
大成 博文 徳山工業高等専門学校, 土木建築工学科, 教授 (30045041)
宮本 仁志 神戸大学, 工学部, 助手 (50283867)
神田 徹 神戸大学, 工学部, 教授 (30029144)
松尾 克美 中電技術コンサルタント, 環境調査室, 課長(研究職)
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研究概要 |
・貯水池の熱塩成層の現況を再現し,想定する水質制御運転に応じた貯水池水質の応答を予測するために,DYRESM貯水池モデルによる熱塩成層の再現を試みた.水面熱収支にともなう水温成層の季節変化については所定の再現性を確認したが,底質からの塩分溶出にともなう高塩分層の消長については,水質過程が組み込まれていないために再現されていない.今後,DYRESMと生態系モデルCAEDYMとのカップリングによって熱塩成層の数値解析を進める予定である. ・貯水池における溶存酸素の観測値に基づいて有機物分解による酸素消費速度を概算した.これより,熱塩成層を制御するために必要な水質浄化プラントの酸素供給量を推算した.その結果,現行の送気量では酸素量が不足することが判明したため,2000年11月に施設を増強した.その後,現在に至るまで水質浄化効果を監視している.また,類似の熱塩成層を有する他の貯水池での深層曝気の実績を検証し,ここで開発する水質浄化プラントの費用便益を試算した.その結果,他の深層曝気施設に比べて本システムの低廉性を実証することができた. ・当初計画においては,底層での水質交換,曝気による底質酸素消費の抑制を検討する予定であったが,今回は研究レビューに留めることとし,実質的には水面における物質・運動量交換,気体輸送について検討した.開水路モデルにおいて乱れにともなう水面変動,乱流構造を同時計測し,水面での酸素・窒素曝気など水質環境に影響する気体交換のメカニズムについて基礎的知見を得た. ・マイクロバブル・エアレータの改良を試み,一部の新型エアレータは当該貯水池にも設置しその性能効果を確認中である.当初,マイクロバブルの水平吐出力を増進するためにエアレータ吐出部にフードを装着していたが,この中で流れが停滞して気泡が滞留し巨大気泡が生成されることがわかった.このため,マイクロバブルの発生率が減少し,所定の深層曝気効果を得られないために,吐出部の構造を改良した.種々のエアレータは貯水池の他,海域や養殖池においても設置され水質浄化機能をテストしている. ・本浄化システムを実用化するために先の対費用効果も含めて実施設計の骨子を策定した.
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