"シルトフェンスというハードとその適正な敷設法というソフト"が一体となってはじめて効果的な汚濁防止対策となるとの立場から、シルトフェンスの合理的かつ効果的な設置法を決定するための数値モデルの開発を目的として、(1)直投土砂の落下から底面衝突を経て、底面に沿って拡がる濁水塊の3次元的な流動・拡散・粒子堆積プロセスを再現できる固-液混相数値モデルの構築、(3)シルトフェンスが敷設された状況を含む実験結果との数値モテルの定量的検証およびモデル定数の決定、(4)数値モデルの実現象への適用、を目的としたものである。 対象とする現象は、スタティクな状態から大きな乱流スケールが支配的な流動状態へと発達する高濃度の固-液混相密度流現象てある。このため、混相流モテルとしてEuler型の1流体モデルを採用し、Model 1(LESとSumagorinskyモデルおよびCFDSスキームを用いた3次元モデル)、Model 2(FDS法を用いた層厚平均1次元モデル)およびModel 3(SMAC法とMUSCL法を用いた3次元モデル)の3モデルを開発した。 以上のモデルにおいて、Model 2は底面衝突後の濁水の拡がりと粒子の堆積プロセスを把握できる簡便なモデルであるが、Model 1とModel 3のように、落下から水平流動に至る一連のプロセスを再現することはできない。Model 1とModel 3は、直投土砂群の落下から底面衝突を経て、水平流動する濁水の拡がりと粒子の堆積プロセスの定量的な把握が可能なモデルである。Model 1はモデル定数の同定が必要であるが、Model 3は不要であり、計算の安定性にも優れ、また計算効率もModel 1よりも優れている。このような理由で、Model 3を実用モデルとして提案し、実問題への適用を行った。
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