研究概要 |
(1)実3次元空間における車両位置同定手法の開発 画像処理において得られる車両位置は,画素単位のものである。しかしながら,実際に交通分析を行う際には実距離での測定が必要となる。実3次元空間での車両位置を求める手法として,ステレオ画像を取得する方法と撮影対象が平面である制約を課す方法の2つが考えられる。しかしながら,道路空間において,そのような条件を満足させることは困難である。そこで,道路を静止物体とし,車両はその道路上を移動すると仮定することにより,実3次元空間において車両位置を同定する枠組みを構築した。まず,基準フレームと異なる視点からの画像を事前に取得することにより,道路空間の3次元モデルを構築する。その他のフレームは幾何補正により,基準フレームに位置合わせを行う。これにより,道路上の任意の地点での3次元座標が推定でき,道路上を移動する車両の位置も推定可能となる。 (2)車両位置精度の向上のためのスムージング法の検討 車両認識の結果は,形状などの不正確さからその位置精度が十分なものとは言えない。そのため,時間的なスムージングを適用することにより,その位置精度の向上が期待される。様々なスムージング手法を検討した結果,位置・速度・加速度を同時にスムージング可能なカルマンスムージングの有効性を確認した。 (3)車載ビデオカメラによる交通事故分析の応用 交通事故分析の応用例として,車載ビデオカメラを用いて,合流部での,ギャップ選択時におけるドライバーの判断要因の分析を行った。得られたデータからドライバーの判断プロセスに影響する時間パラメータを統計的に抽出し,それに基づき,判断プロセスをモデル化した。
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