研究概要 |
(1)昨年度提案したインパルス型HPLCマイクロカラム法により,3種類の土壌における5種類の農薬の遅延係数Rを測定した.非平衡バッチ吸着試験との比較により,本法で得られるRは非平衡吸着を表すものであることが示され,その現象を記述する非平衡吸脱着モデルを提案した.また,HPLCマイクロカラム法により農薬の吸脱着の物質収支を測定する方法を提示した. (2)VOC浄化のための土壌ガス吸引法における浄化効果に与える通気係数と遅延係数の複合的影響を3種類の土壌と3種類のVOCについて調べ,土壌内におけるVOCの最大流速を得ることのできる最適水分量を求める方法を提案した. (3)日本,アメリカ,デンマークの3種類の異なった土壌へのPAH(Naphtalene)の時問依存性吸着を測定し,土壌有機物へのPAHの拡散を考慮したモデルを提案した. (4)数種類の異なった土壌における気体拡散の実測データをもとに,土壌特性(間隙径分布)を考慮した,新しい土壌特性依存型モデルを開発した. (5)撹乱,不撹乱土壌の実測データに基づく解析から,土壌内の液相・気相における物質の拡散と移動が,土壌表面積と間隙径分布に支配されていることを明らかにした. (6)日本,デンマークの土壌におけるコロイド粒子の挙動について調べ,その移動と吸脱着が拡散律速であることを明らかにした.また,コロイドに吸着したPAHによる地下水汚染の可能性についてリスク評価を行い,汚染物質輸送においてコロイドの寄与が大きいことを示した.
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