研究課題/領域番号 |
12555174
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
増本 博 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50209459)
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研究分担者 |
木村 禎一 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10333882)
明石 孝也 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20312647)
後藤 孝 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60125549)
地主 啓一郎 (株)フルヤ金属, DMLプロジェクト, 研究員
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キーワード | 強誘電体薄膜 / 不揮発性メモリ / チタン酸ジルコン酸鉛 / 耐水素特性 / 白金電極 / 疲労特性 / 銀合金電極 / 誘電率 |
研究概要 |
本年度は、強誘電体薄膜用、耐水素新電極材料として提案したAg合金(97mol%Ag-1mol%Pd-2mol%Cu)と比較のためにPtとを上部電極として用いたPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)膜の耐水素(5%H_2-95%N_2雰囲気)特性を評価し、PZTの強誘電性に与える電極の影響について調べ、研究を総括した。 Pt上部電極の場合、300℃以上の水素熱処理によってPZTとPt下部電極界面での剥離が観察された。これは、窒素熱処理で剥離が生じないことから水素による影響と推察される。Ag合金上部電極の場合、水素雰囲気においても剥離は観察されなかった。 P-EヒステリシスにおけるPZT膜の残留分極の値は、Pt上部電極を用いた場合は、200℃以上の水素熱処理により、ほとんど0となった。一方、Ag合金上部電極を用いた場合は、水素熱処理により300℃までほとんど残留分極の値は変化せず、その後緩やかに減少し、450℃においてほとんど0となった。このAg合金電極の残留分極の温度変化は、Ptおよび、Ag合金上部電極を窒素熱処理した場合とほぼ同じ変化を示した。このことから、Ag合金上部電極を用いた場合の300℃以上での劣化は水素に起因したものではないと推察される。無電極熱処理の結果から300℃以上での残留分極の減少は、PZT膜自身の還元が原因であると推察される。 以上の結果から、水素還元雰囲気でAg合金上部電極は水素に起因した劣化を生じさせず、Pt上部電極よりも優れていることが分かった。 本研究において開発した、Ag合金(97mol%Ag-1mol%Pd-2mol%Cu)は、水素雰囲気でも使用でき、500℃の酸素回復熱処理にも耐えられる(昨年度実績)ことが分かった。今後の結晶粒の微細化、緻密化による膜質の向上によって十分使用可能であると推察される。
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