研究課題
GaNのバルク単結晶をNa-Ga融液を用いることにより、700〜850℃、窒素圧力1〜5MPaの条件下で作製し、得られた単結晶の特性を評価した。出発原料の調整に際しては、本科研費で購入した高純度Ar雰囲気のグローブボックス内において、金属Ga18mmolと金属Na18〜36mmolを秤量し、BNルツボに入れ、これをSUS316ステンレスチューブ内に封入し、電気炉を用いて所定の温度まで加熱後、窒素ガスを導入した。単結晶育成は、700〜850℃、窒素圧力1〜5MPa、200〜450時間の実験条件で行った。温度、圧力条件およびNa-Ga融液の出発組成γ_<Na>(Na/(Ga+Na)モル比)を変化させて合成したGaN単結晶の形態を観察した結果、5×3×0.1mm^3の無色透明な六角板状単結晶が、750℃、窒素圧力5MPa、γ_<Na>=0.6の条件で成長した。一方、窒素圧力3MPaで800℃では、1×0.5×0.5mm^3を越える大きさの無色透明なプリズム状単結晶が得られた。また、750℃、窒素圧力5MPaでγ_<Na>=0.54の条件においても1×0.5×0.5mm^3のプリズム状単結晶を合成することができた。温度と圧力条件を低温、高圧から高温、低圧ヘシフトさせるにつれてGaN単結晶の形態は板状からプリズム状に変化する傾向にあることが判明した。また、出発融液におけるNaの割合を減少させても板状からプリズム状に変化することがわかった。得られた板状単結晶の0004面で測定したX線ロッキングカーブの半価幅は25arcsecで、この結晶の2θ角からc軸長を算出すると5.1877Åであった。この結晶はキャリア濃度が約2×10^<18>cm^<-3>、移動度が100cm^2V^<-1>s^<-1>のn型半導体で発光端近傍のバンドギャップは3.4eVであり、本実験で得られたGaN単結晶の品質は高いことがわかった。今後は、本研究で得られた実験条件を基にして、5mmサイズ以上の板状とプリズム状単結晶作製条件を探索し、得られた結晶の評価を行う予定である。
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