研究課題
出発原料の調整に際しては、本研究費(平成12年度)で購入した高純度Arガス雰囲気グローブボックス内において、金属GaとNaを秤量し、BNルツボに入れ、これをSUS316チューブ内に封入し、電気炉を用いて所定の温度まで加熱後、N_2ガスを導入した。単結晶育成は、700〜850℃、N_2ガス圧力1〜5MPa、200〜450時間の実験を行なった。結晶形態は育成条件によって変化し、低温、高N_2圧力条件になるにつれてプリズム状結晶から板状結晶になることが判明した。本研究で作製した中で最ち大きな板状結晶は、長手方向に約10mm、厚さが約0.1mmであり、750℃、N_2圧力5MPa、300時間の条件で作製できた。一方高温側の800℃、5MPa、300時間で作製した結晶は柱状結晶(1.0×0.5×0.5mm^3)で、無色透明で平滑なプリズム面が見られた。板状結晶について、X線ロッキングカーブにより結晶性を評価した。ロッキングカーブの半値幅は6mmの結晶で45arcsec、10mmの結晶で55arcsecであった。この結果は、高N_2ガス圧溶液法で作製された10mm程度の薄膜状板状結晶の値(30〜120arcsec)と同温度であり、本研究で作製したバルク単結晶の結晶性が優れていることが判明した。板状結晶のホール効果を測定した結果、すべての結晶はn型半導体で、キャリア濃度と移動度は室温でそれぞれ1〜2×10^<18>cm^<-3>と50〜100cm^2V^<-1>s^<-1>であり、高N_2ガス圧溶液法で作製された結晶よりもキャリア濃度は1桁ほど小さく、移動度はやや大きな値となった。柱状結晶で測定したカソードルミネッセンススペクトルからは、360nm(3.4eV)のバンド端付近からの発光以外に、他のピークは見られなかった。本研究で作製したGaNバルク単結晶は、現在世界一の高品質単結晶として注目されており、転位密度や成長機構の詳細な検討、種結晶成長の技術開発等が今後の課題である。
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