マイクロパターニング用光感応性ゲル膜を用いた光機能素子の形成と特性評価

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12555179
• 研究機関: 近畿大学
• 研究代表者: 峠 登 近畿大学, 理工学部, 教授 (00081315)
• 研究分担者: 中村 浩一郎 日本板硝子(株)技術研究所, 関西センター, 主任研究員 ; 西井 準治 独立行政法人産業技術総合研究所, 関西センター・光技術研究部門, 室長 ; 野間 直樹 近畿大学, 理工学部, 講師 (70208388)
• キーワード: ゾルーゲル法 / 化学修飾 / 光感応性 / 微細パターニング / 回析格子 / 蛍光性薄膜 / 強誘電体 / 反射防止膜

研究概要

本研究は、光によるマイクロパターニングが可能である光感応性ゲル膜を用いて、強誘電体アクティブ回折格子、蛍光表示素子、二次元回折格子などの光機能素子を形成するためのプロセスを確立することを目的として行ったものであり、以下の成果を得た。
1)RFスパッタ法によって石英ガラス基板上にITO薄膜を作製し、その上に化学修飾法で形成したPZTおよびPLZT薄膜の特性とITO作製条件の関係を検討し、導波構造を有する強誘電体膜の作製条件を明らかにするとともに強誘電特性の評価を行った。
2)Eu^<3+>添加光感応性ZrO_2ゲル膜の蛍光強度は、熱処理温度とともに増大し、300℃付近で最大となったのち低下することを見出した。さらにマトリックスに適当量のAl_2O_3を添加すると、Eu^<3+>の最大添加量が増大し、高温での蛍光強度の低下が少なくなることを明らかにした。これらのEu^<3+>添加ゲル膜は光によるパターニングが可能であることを確認した。
3)光感応性ZrO_2ゲル膜に二光束干渉露光法を適用し、周期0.5μmの一次元および二次元の回折格子を作製した。得られた回折格子の特性と作製条件の関係を明らかにするとともに、レーザの照射エネルギーを制御することによって、アイランド型および格子型の二次元格子を作りわけできることを実証した。さらに、ガラス基板上に周期0.5μmのアイランド型二次元格子を形成することにより、可視光領域で高い反射防止効果を示すことを明らかにした。
4)Zr-アルコキシドをβ-ジケトンとメタクリル酸で化学修飾することにより、クラックフリーで得られるゲル膜の限界膜厚が増大し、光感応特性も向上することを見出した。さらに、メタクリル酸の重合に対して、キレート環の光分解によって生成したラジカルが反応開始剤として働いている可能性を見出した。

研究成果

• [文献書誌] N.Tohge, H.Tada, S.Ito: "Photocatalytic Properties of a Patterned TiO_2/SnO_2 Bilayer Prepared Using Photosensitive TiO_2 Gel Films"Materials Science for the 21th Century. Vol.B. 130-133 (2001)
• [文献書誌] A.Hattori, Y.Tokihisa, H.Tada, N.Tohge, S.Ito, et al.: "Patterning Effect of a Sol-Gel TiO_2 Overlayer on the Photocatalytic Activity of a TiO_2/SnO_2 Bilayer-Type Photocatalyst"J.Sol-Gel Sci.Technol.. Vol.122,No.1/2. 53-61 (2001)
• [文献書誌] N.Tohge, M.Hasegawa, N.Noma, K.Kintaka, J.Nishii: "Fabrication of Two-Dimensional Gratings Using Photosensitive Gel Films and Their Characterization"J.Sol-Gel Sci.Technol.. (印刷中).
• [文献書誌] J.Nishii, K.Kintaka, T.Tohge, N.Noma, et al.: "Low-Reflection Microstructure by Sol-Gel Process"Appl.Opt.. (投稿中).
• [文献書誌] 峠 登: "ゾルーゲル法によるマイクロパターニング"セラミックス. 37巻3号. 161-164 (2002)