研究概要 |
FW-FRP圧力容器は航空宇宙分野のロケットモータケースや圧縮天然ガス自動車燃料タンクなどに適用されている.FW圧力容器の簡便な試験法としてASTMで規定されているNOLリング試験があげられるが,この試験においては正確な周方向引張状態がえられないという欠点があげられる.さらに,欠陥・損傷が破壊挙動及び強度低下に及ぼす影響を理解する,あるいは非破壊検査の一種であるAE法のFRP圧力容器への適用にあたり,AE特性評価を行うためには,FRP層内あるいは層間での破壊挙動観察はその破壊機構の解明には大きな利点となると考えられる.そこで,正確な強度評価試験法に加えてFW-FRP圧力容器の破壊機構を解明するための破壊挙動観察が可能な試験法の開発が望まれる. 円周巻きFRP複合材料の引張強度評価法として,FRP層内及び層間での破壊挙動のその場観察が可能なリングバースト試験法があげられる.本年度は本試験法の疲労試験への適用を目的とし,ロッド及びセグメント・台座間にベアリングを設置することにより,各部材間の摩擦を低減し,繰り返し負荷を与えることを可能とした.実容器においては,充填・使用が繰り返され,それにともない表面の微視的な損傷を起点とし,容器表面からは容易に観察不能な層間はく離等の損傷が進展することにより,残留内圧強度が低下することが考えられる.本研究においては,試験片にノッチを挿入することにより微視的な損傷を模擬し,疲労負荷にともないノッチ先端より発生・進展する層間はく離のその場観察を行い,その挙動を明らかにした.
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