21世紀迎え、環境・エネルギー問題が世界規模で深刻化する中、クリーンな光エネルギーの有効利用は最重要プロジエクトの一つである。 酸化チタンは光照射されることにより、電子・正孔対を生成する半導体であり、光エネルギーシステムとして注目を集めている。中でも有望な系の1つに酸化チタン色素増感系などの2相系があるが、この2相系において、エネルギーを最も効率よく利用できる材料は数十nm、すなわちメゾスコピックな孔を持つ構造体であることが理論研究により指摘された。近年、本研究者は様々な粒径の微粒子二次元配列構造(微粒子アレイ)の鋳型を酸化チタン半導体で得ることにより光酸化還元能を有するメゾスコピックな半導体を作製し、エネルギー環境問題に取り組んで研究を遂行してきた。以下に本年度に実施した研究成果を述べる。 1.スプレーパイロリシス法による高密度・高配列な酸化チタンメゾスコピック構造体の作成とそのパッキング密度の評価・・・・・・・・・スプレーパイロリシス法に用いるゾル濃度の調製・スプレー速度・焼成温度の制御を行い作成した構造体を電子顕微鏡で観察し、観察像をフーリエ変換して得られるパッキング状態を評価した。 2.酸化チタンメゾスコピック構造体の光酸化還元能の検討・・・・・・・・・作成した構造体が光還元能を持つことは硝酸銀の光還元を利用して光酸化能を維持しているかどうかは検討を検討した。この際、酸化チタン中空球そのものが酸化能を持つことを証明するため、その場観察できる酸化反応を選ぶ必要があった。そこで本研究者は電導性ポリマーPyrroleを利用し、Pyrroleは酸化されると高分子化し、それを電子顕微鏡で観察し、分析した。
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