研究概要 |
PAN系炭素繊維の繊維製造工程の一工程である炭素化工程に強磁場を印加しつつ1500℃で炭化繊維を作製した.その繊維をさらに高温度で無磁場下で黒鉛化し,黒鉛の配向を試みたが配向に及ぼす磁場の効果を明らかにできなかったものの,炭素繊維の強度を約1000Mpa向上させることに成功した.この要因を明らかにするために,試料のラマン分光分析を行い繊維の結晶状態を予測したり,引張試験を行って得られた結果よりワイブル分布曲線を描いて考察を試みた.その結果,反応の進行中に生ずるラジカル反応に磁場が作用し,反応の進行と共に形成する炭素六員環の配列が整然化したものと推測した. 今後,さらなる,研究の積み重ねによって,より強度の高い炭素繊維製造条件の可能性とその条件の把握が必要である. ピッチ系炭素繊維の酸化工程を強磁場中で行うと,メソフェイズ小球体の生成が促進されたり,粒径が大きくなることを見出した.さらに,メソフェイズ小球体の生成温度が磁場印加によって低下することも見出した. 得られた小球体の分離技術の開発と小球体の黒鉛化を行い,電池の高効率な電極材の開発の可能性が見出された.
|