研究課題/領域番号 |
12555188
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
野上 正行 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (90198573)
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研究分担者 |
釣田 寧 三菱化学株式会社, 横浜総合研究所, 主任研究員
赤井 智子 産業技術総合研究所, 関西センター, 主任研究員
春日 敏宏 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30233729)
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キーワード | プロトン / ゾル-ゲル / ガラス / 燃料電池 / 電解質 |
研究概要 |
水素と酸素を燃料とする燃料電池は、高いエネルギー変換効率、環境保全の面全てにおいて最も優れたものとされ、自動車用動力や家庭用小型発電機に応用可能な低温型燃料電池の開発が急がれている。 本研究では、ゾルゲル法による高プロトン伝導性ガラスの開発を行い、燃料電池の固体電解質としての応用の可能性について検討した。 ゾルゲル法によって、細孔径が1〜5nmで、〜500m^2/gの比表面積を有したP_2O_5-SiO_2系ガラスを作製した。細孔表面に水を吸着させることで、プロトン伝導度が上昇するが、細孔の大きさの影響を大きく受けることが分かった。すなわち、細孔が小さいと、吸着した水は表面OH基と強く化学吸着したものとなり、プロトンの移動にあまり寄与しない。細孔径が大きくなるとともに、物理吸着するようになり、伝導度に著しい向上がみられた。しかし5nm以上になると、吸着水で細孔が閉じることなく、伝導度を低下するようになることを明らかにした。2nm程度の大きさの細孔径を有したガラスは90%RHで〜0.05S/cmとなり、低湿度雰囲気下でも高い伝導度を保ったままであることがわかった。また、作製したガラスは150℃から-30℃までの広い温度範囲で高い伝導度を示し、広い温度範囲での応用の可能性があることがわかった。 一方、ガラス薄膜の作製についても検討した。ある種の表面活性剤をテンプレートにして、高いプロトン伝導性を示す厚さが500nm程度の膜圧を作製することに成功した。 作製したガラス及び薄膜を電解質にして、燃料電池を組み立て、空気-水素系で測定したところ、一定の電圧-電流を取り出せていることも確認した。
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