市販の還元鉄粉末(以下、純鉄と記す)をメカニカルミリング処理し、硬度をHv7GPa程度まで上昇させた粉末を用いて、熱間押出による大型バルク材の作製条件を検討した。その結果を以下に示す。 ※ 固化成形条件の検討 本実験では、固化成形のための加工を熱間押出によって行うため、その際の潤滑が非常に重要となる。種々の潤滑剤を検討した結果、固化成形温度を実験室と同様の700℃に低下させる潤滑剤を作製した。なお、断面減少率は、実験室での予備実験と同様に89%とした。 上記の条件で固化成形することにより、直径10mm×長さ100mmの真密度の大型バルク材の作製に成功している。 ※ 固化成形体の特性 固化成形体のフェライト粒径は約0.5μmであり、短軸方向にほぼ均一な組織となっていることが確認された。ただし、フェライト粒径は、実験室で作製した試料(フェライト粒径0.3μm)と比べて若干の粒成長が起こっており、これは、固化成形時の加工発熱が原因と考えられる。次年度では、加工発熱を考慮した固化成形条件を検討するとともに、これまで不可能であった衝撃試験等の機械的性質を調査する予定である。
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