研究課題/領域番号 |
12555191
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
平井 伸治 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (10208796)
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研究分担者 |
阿部 英樹 北海道赤十字血液センター, 主任研究員
斎藤 巌 室蘭工業大学, 保健管理センター, 所長 (60235025)
嶋影 和宜 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70005346)
和田 健二 物質・材料研究機構, 物質研究所, 主任研究員
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キーワード | アノード酸化分離膜 / 電流回復法 / 真空加熱 / 細孔径制御 / ナノスケール / 細孔径分布 / ガス吸着 / 脱着 |
研究概要 |
これまでスルホサリチル酸-硫酸混合浴の電解浴を用いて"電流回復法"によりアノード酸化分離膜を作製し、この細孔径が従来の報告にあるものより微細なCr_2O7^<2->と同程度の約0.4nmの細孔径を有することを明確にしてきた。しかし、その細孔径は浴電圧による制御が可能であるもののナノオーダーの微調整は大変難しく、また分離膜が結晶水を含む無定形Al_2O_3から構成されるため湿度による封孔が問題になってきた。本研究ではアノード酸化分離膜の湿度に対する安定化と細孔径の微調整を目的とした真空加熱および細孔壁へのゾル-ゲル被覆の効果について検討した。アノード酸化分離膜には、Al基板を293Kの0.2w/w%スルホサリチル酸-0.2w/w%硫酸混合浴中60Vで32.4ksの定電圧電解後、"電流回復法"と逆電剥離により作製したものを用いた。このアノード酸化分離膜をオイルフリーの高真空中1273〜1673Kで1.8ks加熱した。続いて、アノード酸化分離膜をゾルに浸漬し、一定速度で引上げるディップコーティングと、大気中乾燥、573Kの加熱処理からなる一連の操作を繰り返すことにより水酸アパタイトを細孔壁に被覆した。ゾルはモル比でカルシウムジエトキシド:亜リン酸トリエチル:エチレングリコール:脱水エタノール:水:ジエチレングリコール=10:6:359:942:2.5:10の割合を用いて作製したものを用いた。真空加熱およびゾル-ゲル被覆後の分離膜は、N_2ガスを用いたガス吸着/脱着測定装置を用いて細孔径分布を測定した。1073Kではガス吸着/脱着測定装置の測定限界以下の微細孔であったのに対し、1273Kと1473Kでは平均細孔径が4nmとなり、高温の1673Kでは再び測定限界以下の微細孔となる傾向が見られた。また、アノード酸化分離膜ポーラス層側表面のFE-SEM観察の結果、1273Kと1473Kの場合、細孔径の拡大が観察され、さらに1673Kでは再び細孔径の縮小が観察された。XRDから1273Kではγ-Al_2O_3単相、1473Kではγ-Al_2O_3とα-Al_2O_3、1673Kではα-Al_2O_3単相が得られたことから、1273Kと1473Kでは脱水によるセル組織の収縮により細孔径が拡大し、1673Kではセル組織の焼結により細孔が縮小したものと推定された。また、1273Kで加熱した分離膜にゾル-ゲル被覆を施したところ、2回までのコーティングにおいてその回数と共に細孔径のナノオーダーの縮小と、細孔径分布幅の減少が確認された。
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