研究課題/領域番号 |
12555204
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 讓 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80108464)
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研究分担者 |
斎藤 栄 足利工業大学, 工学部, 教授 (40134035)
前川 英己 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60238847)
山村 力 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80005363)
才川 清二 旭テック, 技術開発室, 主任研究員
岡部 徹 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00280884)
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キーワード | 溶融塩 / 金属リチウム / 炭酸リチウム / 電解 / 隔壁 / LiCl-KCl共晶塩 / 先行・後続反応 / 律速段階 |
研究概要 |
本研究の目的は、LiClに換えてLi_2CO_3を原料とすることにより金属Liを低コストで製造するプロセスの確立にある。金属Li製造における最大の問題は原料のLiClが高価なことである。一方、Li_2CO_3は高純度・安価かつ取り扱い容易であるが、カソードに析出する金属Liと激しく反応するため直接に原料とすることは困難である。そこで本研究の方法では、LiCl-KCl共晶塩の電解浴中でアノードとカソードを多孔質隔壁で仕切り、Li_2CO_3をアノードのみに留める工夫によって原料とすることを特徴とする。 昨年度までは、LiCl-KCl共晶塩中におけるカソードの挙動を検討し、概ね90%以上の高い電流効率が得られることを確認した。金属Kの析出は高電流密度で幾分起こるが、ほぼ1%以下に押さえることが出来た。電解温度は400℃とし、電極にはタングステンを用いた。また電解浴(LiCl-KCl>にLi_2CO_3を投下する方法を検討し、予期した電圧の降下を認めたがLi_2CO_3の分解は低速であった。 本年度はLi_2CO_3の分解速度を向上させるために、装置を改造し800℃までの実験を行った。方法は黒鉛アノードを多孔質アルミナるつぼに入れ、その電解浴(LiCl-KCl)にLi_2CO_3を投下するものである。その結果、アノードにおけるLi_2CO_3消費反応は非常に強い温度依存性を示すことが明らかとなった。この反応は、塩化物からのCl_2発生の先行反応と、発生したCl_2と黒鉛電極によるCO_3^<2->が酸化されてCO_2を発生する後続反応からなり、後者が律速段階である、との結論を得た。この様に反応機構の解明が行えたことにより、実用化に向けて大きな進展が得られた。
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