研究課題/領域番号 |
12555206
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
梅津 良昭 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10005423)
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研究分担者 |
亀田 知人 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (60333895)
岡部 徹 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00280884)
佐藤 讓 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80108464)
廣田 晃一 信越化学工業(株), 磁性材料研究所, 研究員
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キーワード | 希土類金属 / リサイクル / Nd-Fe-B磁石合金スクラップ / 溶融金属 / 抽出・分離 / ネオジム / 銀 |
研究概要 |
本研究の目的は、新しいタイプの希土類金属リサイクル・プロセスの開発に資す基礎データを得る手法を探索することである。本年度は、実験スタイルを変え、溶融金属を用いてNd-Fe-B磁石合金スクラップからネオジムを直接抽出・分離する方法を試みた。本概要では、溶融金属(抽出媒体金属)として、銀を用いた場合について記載する。 溶融銀によるNd-Fe-B磁石スクラップからのネオジムの抽出実験を行い、その結果をもとに平衡論的な考察を行った。はじめに、溶融銀によるスクラップからのネオジムの抽出実験を行った。その結果,1273Kにおいてネオジムの抽出は速く、その大部分は4hよりも早い段階で進行することがわかった。また、種々の条件下で抽出実験を行い、1273〜1573Kの広い温度範囲で抽出率が90%以上に達し、ネオジム濃度が45-50mass%のAg-Nd合金が得られた。ネオジムの抽出限界を熱力学的に考察した結果、ネオジムの抽出限界はAg-Nd合金中のネオジム濃度にして約50mass%であることがわかった。次に,1363KにおけるAg-Fe-Nd系の状態図を実験により作成した。これを用いて推定した抽出限界は、Ag-Nd合金中のネオジム濃度にして50-52mol%(57-59mass%)となり、前述の計算結果ともほぼ一致した。さらに、ネオジムの抽出によって得られたAg-Nd合金を大気下で溶融、撹拌し、ネオジムを酸化物として銀と分離、回収することを試みた。その結果、溶融後2hで銀中のネオジム濃度は0.006-0.065mass%まで低下し、ネオジムは酸化物として分離できることがわかった。 以上、本研究により、溶融金属を抽出媒体として用いて、磁石合金スクラップ中のネオジムを抽出する新しいプロセスの構築が原理的に可能であることが示した。
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