研究概要 |
1.Cu-Al-Ni合金超弾性線の連続鋳造装置の試作結果 OCCプロセスを用いて直径2mmのCu-14%Al-4.1%Ni合金線を毎分30-400mmの範囲での連続鋳造を行うために、水平加熱鋳型式連続鋳造装置を試作した。しかしながら、新しい鋳造装置では次の問題点が明らかとなった。給湯管と鋳型加熱を同一のヒーターで行っているために、鋳型内の温度勾配が大きくなってしまうこと、熱電対の位置が最適な位置でないこと、装置の小型化により旧冷却装置では効率的な冷却に不都合がでたこと等より,これらの問題は今後装置の改良を行うことにより解決できるものと考えられる。 2.Cu・Al-Ni合金超弾性OCC線の性質 OCC線の組織は,一方向に伸びた(001)方位のマトリックスのβ1相中にγ2相が点在する組織となり、鋳造速度が速まることによりγ2相の減少し、200mm/min以上の鋳造速度ではγ2相は殆ど見られなくなった。また、室温での超弾性を示す鋳造速度130mm/min以上のOCC線では、引張りによる応力歪ヒステリシス曲線から、鋳造速度がはやまるにしたがって残留ひずみが低下する傾向が見られた。そして、鋳造速度250mm/minでは30%の引き延ばした後も残留歪みは0%となり、高い形状回復性が明かとなった。さらにOCC材は、TrN1合金超弾性線に比較し1/3以下の約140MPaの応力でβ1からβ'1への超弾性変形を示し、極めて柔らかい超弾性材であることが明かとなった。
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