研究概要 |
電子写真システムの高画質、高速ならびに小型化のために最も多くの課題を有する現像部の最適設計支援シミュレーション法を開発した。 1,トナー帯電挙動のシミュレーション;電子写真システム内の流動で刻々変化するトナー帯電量ならびに対象とする現像器に最適な帯電特性を有するトナー設計を目的としてトナー帯電挙動シミュレーションを開発した。単一高分子粒子の衝突帯電実験をもとに、衝突時の摩擦も考慮に入れた帯電予測式を導いた。この帯電量予測式と刻々のトナー帯電量変化を推算するトナー分割モデルによるトナー帯電挙動のシミュレーションは振動帯電実験結果と良好な一致を示した。 2,一成分現像器の設計支援シミュレーション;現在実用されている三つのタイプの現像剤流動制御システムを対象としてトナー薄層形成挙動と帯電挙動を表現する粒子要素法シミュレーションを開発した。これにより、規制ブレード、現像ロールの形状や材質とトナー薄層と帯電量分布の関係を迅速に得ることができ、一成分現像システムの設計を行うことができる。 3,二成分現像システムの設計支援シミュレーション;まず磁気ブラシの形成挙動シミュレーションを開発した。磁気ロールからの磁力と磁化したキャリアー粒子が作る磁場の高速計算法を提案し、磁場と磁気ブラシの力学特性の関係、ならびにドクターブレードによる劣化を低減する装置構造を明らかにした。つづいて、直流ならびに交流バイアス電圧が重畳する場における現像剤の現像挙動のシミュレーションを開発し、二成分現像器の設計支援シミュレーションを完成した。 4,新しいシミュレーション法の開発;シミュレーションに使用できる粒子数が少ない粒子要素法に代わる新しいシミュレーション法として粉体オートマトンシミュレーションを開発した。数百万個の粒子を計算することができ、電子写真システムのシミュレーションに対しても大きな可能性を持っている。
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