研究概要 |
ディーゼルエンジンからの排出ガスに含まれる窒素酸化物の除去触媒の開発を目標として,炭化水素を還元剤に用いた窒素酸化物の除去(HC-SCR)に有効な触媒の設計開発のための基礎および実証研究を行うことを目的とした。 1.HC-SCRに有効な触媒の探索および耐久性評価 本研究は,メタンを還元剤としたNOの選択的還元除去におけるPd/H-ZSM-5触媒の第2成分添加による耐久性の向上効果に関して検討したものである。昨年度までの研究で,Pd/H-ZSM-5へ第2成分を添加することにより転化率および耐水熱安定性を増大させる触媒設計に関して検討し,CoがPd/H-ZSM-5の活性の安定性を著しく向上させることを見いだした。本年度は,活性なPd種およびその長期活性安定化に寄与しているCo種の検討を行った。Coの添加量には最適値があることがわかった。またCo/Pd/H-ZSM-5中の活性なPd^<2+>種のゼオライトに対するイオン交換特性がCo担持量とともに変化することが明らかとなった。特にCo(3.3wt%)Pd/H-ZSM-5ではPd^<2+>種が安定化され長期耐久試験後もこの活性種の量は不変であった。このことが活性安定化を示す理由であると結論した。 2.一酸化炭素還元剤による窒素酸化物除去に有効な触媒の探索 本研究は,ディーゼルエンジン排ガス浄化触媒プロセスへの適用を考慮した触媒開発の基礎的研究である。昨年度までの研究では,ディーゼル排ガスに多く含まれる一酸化炭素(CO)に着目し,非常に少量の担持Ir(0.02wt%)触媒が本反応に有効であることを見いだした。耐水熱安定性の高い担体であるsilicaliteにIrを担持したところ,還元反応に対する選択性,耐SO_2被毒性への担体効果を見いだした。本年度は,低温域での触媒活性に関して検討した。Irの担持量を変化させたsilicalite触媒を検討したところ,Ir(0.1wt%)/silicalite触媒が200℃からNOx除去活性を示すことが分かった。
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