本年度は、Irをゼオライトに担持した系におけるNOx除去反応への活性について検討した。担持する担体としては、ZSM5ゼオライトやベータゼオライト、およびこれらゼオライトにおいてアルミナを含まないオールシリカのゼオライト、具体的にはシリカライト1やオールシリカベータ等も用いた。また、比較のためにシリカのみからなるアモルファスな担体も同様に用いた。 その結果、活性の序列は、オールシリカのものの方が低かったものの、アモルファスシリカ<シリカライト<ベータとなり、ゼオライトの細孔径が本反応に何らかの寄与を果たしていることが明らかとなった。この際、担持した金属量は同一であり、活性は担体の骨格構造に起因していると見られる。また、アルミナを含まない系では、SOxを含む場合において、安定して高い活性を示すことが分かった。一方で、従来のアルミナを含むゼオライトでは活性の低下がすみやかに観測された。同時に、アルミナを含まないゼオライトにおいては、SOxを導入することで、活性発現温度域が大きく異なることも分かった。 これらのことから、担持する金属と担体の細孔径の両方が本反応を大きく支配しており、これらをさらに高度に制御することで、硫黄を含むディーゼル排ガスからの脱硫技術への展望が開けるものと考えられる。
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