抗原抗体の検出には、酵奉標識検出法(ELISA : enzyme-linked immunosorbent assay)が最も広く使用されている。この方法は、抗体がアルカリ性のフォスファターゼ酵素によって標識され、酵素と反応した基質からの光の吸収を検出することによって測定される。しかし、ELISAには高いバックグラウンドが存在し、また、退色が生じるので長時間の観察が出来ないなどの欠点がある。近年、超伝導現象を利用したSQUID (Superconducting Quantum Interference Device)磁気センサーの研究開発が進展し、液体窒素を冷却材として利用できるものも開発されている。SQUID磁気センサーは非常に高感度であり、抗原抗体反応の検出に利用できると思われる。我々は従来法である酵素標識検出法に代わる高温超伝導SQUID磁気センサーを用いた新しい抗原抗体反応検出法の検討を行っている。 昨年度までにDNA断片の固定法の検討を行ってきたが、今年度はナノサイズの磁性微粒子の交流磁界下での挙動に注目して分析をおこなった。その結果、交流磁界下においては磁気モーメントのみが回転するのではなく、微粒子が物理的に回転することが判明した。また、固定法に付いてもさらに効率の良い方法を検討し、従来用いていたビオチン・アビジン反応を用いず、直接DNAをチオール基で修飾する方法を見いだした。
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