研究概要 |
1)新しく整備しメスバウアー分光装置に、応答の早いYAPシンチレーション検出器を導入し、その動作特性を明らかにした。 2)メスバウアーγ線を高選択的に検出できる、可動型の^<57>Fe核共鳴シンチレーション検出器システムを構築した。発光メスバウアースペクトル(EMS)の測定に応用した結果では、最大400%のS/N比が得られ、従来の10分の1以下の線源強度でも高いエネルギー分解能でメスバウアースペクトルが得られることが分かった。 3)Spring8の放射光施設において核共鳴非弾性散乱の測定をおこなった結果、時間分解能1ns以下のAPD検出器8個の多素子を用いれば2%^<57>Feの鉄試料を約90分で測定することができることを確認した。また、核共鳴非弾性散乱スペクトルから局所的なフォノン状態密度を求めるプログラムを開発した。デバイモデルをもとに定量分析に欠かせないラムメスバウアー分率の温度変化を求めた。 4)(Ba,Sr)(Fe,Co)O_<3-δ>および(Sr,Ca)(Fe,Co)O_<3-δ>などのペロブスカイト酸化物の核共鳴非弾性散乱スペクトルを測定し、酸素欠陥δの0.5のブラウンミレライトにおいてき約8meV付近に特徴的なフォノンピークが現れることを明らかにした。2meVから60meVの低い振動エネルギー状態密度を解析するのには核共鳴非弾性散乱法が非常に有効になる。 5)開発した転換電子メスバウアー検出器を用いて電子エネルギー選択しながら酸化膜ステンレス鋼の表面および界面を解析した。内部磁場分布解析からフェライト鋼の酸化皮膜界面がCrの表面濃縮による影響されるようすがとらえられ、また、オーステナイト鋼のスパッタリング皮膜は、オーステナイトではなく、フェライトからなることが分かった。このフェライトは、熱処理によって内部磁場がさらに大きくなり、500℃以上に熱すると常磁性のオーステナイトになることがわかった。さまざまな温度で処理した10nmの酸化膜の状態が解析された。
|