研究課題/領域番号 |
12555237
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 瑞夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10165657)
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研究分担者 |
宝田 徹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30336010)
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キーワード | DNA / キャピラリー電気泳動 / ポリアクリルアミド / 遺伝子診断 / 一塩基変異 / SNP / 分離分析 / ガン原遺伝子 |
研究概要 |
本研究では、被検体DNAと相補的な塩基配列を有するDNA(リガンドDNA)をキャピラリー内に擬似的に固定することにより、PCR法によって増幅可能な鎖長(60量体)の被検体DNAの正常体と一塩基変異体をキャピラリー電気泳動で15分以内に分離することに成功した。まず、5'末端をメタクリロイル基で修飾したDNAとアクリルアミドをラジカル共重合し、リガンドDNAを側鎖に担持したポリアクリルアミド(DNAコンジュゲート)を合成した。次に、この水溶液をキャピラリー内に加圧法によって充填した。負電荷を帯びたリガンドDNAは、そのままでは電圧を印加することによって泳動してしまう。本手法では、リガンドDNAを電気的に中性な高分子であるポリアクリルアミドに担持させて、キャピラリー内に実質的に静止している状態を作り出すことに成功した。被検体DNAとしては、ガン原遺伝子c-K-rasの発ガン性一塩基変異部位を含む、60量体の正常体および一塩基変異体DNAを使用した。一方、リガンドDNAとしては、正常体と相補的な6量体のDNAを用いた。電気泳動中に、正常体および一塩基変異体の被検体DNAは、それぞれリガンドDNAと二重鎖を形成する。その際、リガンドDNAが一塩基変異体と形成する二重鎖は、正常体と比べて安定性が低くなる。この差を利用することにより、泳動フェログラムにおいて正常体と一塩基変異体のピークを明確に分離することに成功した。さらに、緩衝液中に添加する塩濃度とDNAコンジュゲートの濃度が、分離度に著しく影響を与えることも明らかにした。PCR法によって増幅可能な鎖長の遺伝子変異を明確に検出できたことにより、本手法が迅速かつ簡便な新規遺伝子診断の開発につながることが期待できる。
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