研究課題/領域番号 |
12555237
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研究機関 | 特殊法人理化学研究所 |
研究代表者 |
前田 瑞夫 理化学研究所, バイオ工学研究室, 主任研究員 (10165657)
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研究分担者 |
宝田 徹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30336010)
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キーワード | DNA / キャピラリー電気泳動 / ポリアクリルアミド / 遺伝子診断 / 一塩基変異 / SNP / 分離分析 / ガン原遺伝子 |
研究概要 |
本研究は、正常型サンプルDNAと相補的な塩基配列を有する短鎖のオリゴヌクレオチド(リガンドDNA)をキャピラリー内に固定することにより、正常型と一塩基変異型のサンプルDNAをキャピラリー電気泳動でアフィニティー分離して遺伝子変異を検出する手法を開発することを目的にしている。昨年度までにリガンドDNAの固定化方法として、(1)通常のキャピラリー内壁のポリアクリルアミド被覆条件において、末端ビニル化DNAを共存させて化学固定化する方法(壁面固定法)と(2)DNAをペンダントしたポリアクリルアミド複合体の水溶液をキャピラリー内に充填する方法(擬似固定法)を確立した。さらに、両手法によってガン原遺伝子c-K-rasの発ガン性一塩基変異部位を含む、60量体の正常型および一塩基変異型DNAを20分程度で分離することに成功している。本年度では、この2つの手法において種々のパラメータが与える影響を詳細に検討した。その結果、(1)リガンドDNAの鎖長、(2)リガンドDNAの濃度、(3)泳動緩衝液中の塩濃度、(4)キャピラリー温度、の4つのパラメータが分離度の改善に本質的に重要であり、これらを最適化すれば壁面固定法と擬似固定法のどちらの方法でも、任意の配列の正常型と一塩基変異型を分離検出することが可能であるという結論を得た。また、これらの検討を通じて、壁面固定法は実験条件の画一化とデータの再現性に優れており、擬似固定法は測定の簡便性と経済性にメリットがあることが分かった。上記の結論は、遺伝子診断の用途・目的に応じて2つの手法を使い分けることができることを示唆している。
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