研究概要 |
本研究は、新規なTeO_2系、Bi_2O_3系、B_2O_3系、GeO_2系透明結晶化ガラスを利用して可視から紫外域にかけての波長を有する次世代短波長固体レーザーと光導波路を開発することを目的としており、得られた結果は次の通りである。 (1)fresnoite型Ba_2TiGe_2O_8結晶(BTG)が生成した透明BTG結晶化ガラス(30BaO. 15TiO_2. 55GeO_2)の創製に成功し、BTG結晶が優れた非線形光学結晶であることを初めて明らかにした。また、Benitoite型BaTiGe_3O_9結晶が最初に析出し、これを結晶核サイトとしてBTG結晶が生成するという結晶化機構を提案した。 (2)本研究で作製したLaBGeO_5, LiBGeO_4, BTG透明結晶化ガラスの二次光非線形光学定数(d_<33>)をMakerフリンジ法により定量的に評価した。最初に、LaBGeO_5結晶化試料のd_<33>を算出し、結晶化ガラスのd_<33>は単結晶のそれを反映することを確認し、透明結晶化ガラスから非線形光学定数の評価が可能であることを明らかにした。さらに、BTG結晶化ガラスはLiNbO_3単結晶級の二次光非線形性(d_<33>〜22pm/V)を有することを発見した。この値は、今までに報告されているガラスに付与された光非線形性として世界のトップデータである。 (3)BTG以外のfresnoite型結晶、Ba_2TiSi_2O_8 (BTS)およびSr_2TiSi_2O_8 (STS)が生成した結晶化ガラスを創製し、d_<33>値を評価すると共に、光非線形性発現の起源を解明した。特に、Ba^<2+>やGe^<4+>のより大きなイオンの置換により、TiO_5四角錐の自発分極がより大きくなることを明らかにした。 (4)Ba_2TiGe_2O_8結晶が生成した透明な表面結晶化ガラスは光導波路して機能することを確認し、この結晶化ガラスが新規な短波長固体レーザーとして有望であることを提案した。 (5)TeO_2系およびBi_2O_3系ガラスにYAGレーザーを照射することにより、位置選択的に希土類イオンを含有したあるいは光非線形性を示す単結晶ラインの書き込みに成功し、光集積回路への展開が可能であることを提案した。
|