研究課題/領域番号 |
12555248
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 秀章 名古屋大学, 難処理人工物研究センター, 教授 (60109270)
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研究分担者 |
高須 好広 富士精工株式会社, 研究員
笹井 亮 名古屋大学, 難処理人工物研究センター, 助手 (60314051)
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キーワード | CVDダイヤモンド / 超硬合金 / 切削工具 / 窒化ケイ素セラミックス / 密着性 / 切削試験 / 電解処理 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、超硬切削工具表面へのマイクロ波プラズマCVD法によるダイヤモンドコーティング膜の形成と、切削能の向上を目指した研究を行い、以下のような成果を得た。 (1)窒化ケイ素切削工具の切削能の向上を目指して、切削工具用窒化ケイ素チップ表面へのマイクロ波プラズマCVD(化学気相)法により形成したダイヤモンド薄膜の密着性・切削能に関して検討した。同時に、我々の行った二段階CVDダイヤモンドコーティング法による密着性の向上の機構を、コーティング膜内の応力分布をX線応力測定から明らかにした。その結果、二段階CVD法を用いることにより、コーティング膜内の応力分布を傾斜的に緩和させることができていることを明らかにした。この応力の傾斜化により、密着性及び切削能の向上が実現された。 (2)一般的によく利用されているWC-Co超硬合金切削用チップの切削能の向上と、利用範囲の拡大を目指しWC-Co切削チップ表面へのダイヤモンド被膜形成法の確立を目的に研究を行った。WC-Coは、結合材としてCoを含み、これが触媒として作用し、炭素のグラファイト化を促し、ダイヤモンド膜の密着性を阻害する。そこで、ダイヤモンド被膜生成及びその密着性の向上のために、前処理として水溶液中での電解処理を行い、Coの除去とダイヤモンドの核生成密度向上を図った。各種の水溶液(塩酸・硫酸・中性塩水溶液・KOH水溶液)による前処理を検討した結果、硝酸による前処理が最もダイヤモンド被膜の生成を促し、その密着性の向上にも期待がもてるということが明らかとなった。 以上、これらの成果の一部については、すでに国内外での学会発表を行っており、現在、その成果を研究論文として、学術雑誌に投稿するため、準備を行っている。
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