研究課題/領域番号 |
12555250
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉川 信一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10127219)
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研究分担者 |
高橋 昌男 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (00188054)
佐伯 功 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50235090)
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キーワード | 窒化鉄 / 高周波スパッタ / 低温窒化 / 巨大磁化 / 巨大磁気抵抗 |
研究概要 |
(1)既報に従って粒径20nm程度のα-Fe微粉体を水素還元した後に、アンモニア気流中で120℃、24時間窒化することによって、X線回折法で巨大磁化をもつと言われてきたFe_<16>N_2単一相と認められる生成物が得られた。生成物は大気に触れると直ちに酸化されてしまうために、試料は極力酸化されないように表面をシリコンオイルで被覆する必要があった。磁気測定の結果、530K付近からFe_4Nとα-Feの混合物に不均化することが判った。さらに原料のα-Feに比べて保磁力の値が14%減少し、軟磁性化することが判った。更に高純度化する必要がある。 (2)高周波スパッタ法によって得られるα-Fe薄膜を上記と同様に低温窒化することによって、Fe_<16>N_2の薄膜を得ることを試みた。還元用の水素ガス、窒化用のアンモニアガスともにモレキュラーシーブを通して脱水しなければ、生成物は酸化鉄のみとなった。還元したα-Fe薄膜を、脱水したアンモニアガスを用いて低温窒化しても、X線回折法ではα-Feしか検出されなかった。しかしXPSのデップスプロファイルを測定すると、脱水したアンモニアガスを用いて窒化した試料では、ある程度の深さまで窒素が検出された。酸化された脱水せずに窒化した試料では、結晶格子中の酸素のほかに吸着水の酸素も検出された。今後アンモニアガスを充分に脱水することによって、Fe_<16>N_2薄膜を得られる可能性が見出された。 (3)高周波スパッタ法によって二種類のNi-Fe強磁性合金薄膜間にAlN絶縁層を挟んだ接合薄膜を作製して、磁気抵抗効果を測定した。成膜時にかける高周波出力を変化させることによって、異なる保磁力をもつ強磁性薄膜を作製できた。磁気ヒステリシス曲線では、上下の各強磁性薄膜のもつHc=15Gおよび60Gの磁気成分のほかに、界面反応層によると思われるHc=25Gの新たな磁気成分も見られ、複雑な曲線になった。室温におけるトンネル電流は、接合にかける電圧を増すと指数関数的に増加した。また接合の磁気抵抗は、上記の三つの磁気成分を反映した複雑な磁場依存性を示しS/Nも悪いながら、4Kで約10%の変化率を示すことがわかった。
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